亡命貴族の財産没収売却は土地革命にならなかった。

フランス革命の土地問題が紛らわしいのは、もうひとつ、ヴェルサイユの大貴族が革命に反対して、オーストりアその他に亡命し、外国軍とともにフランスに攻めてきたので、かれらの土地財産を没収、売却して、戦費に充てるという意味の政策が実施されたことにある。これを領主権の無償廃止と混同するから、土地革命説の誤解が出てきたのである。領主権廃止の後も、貴族は直営地をもち、城にも住んでいる。亡命貴族になると、この城と大規模な土地が没収された。これが売却されたとき、土地革命になったか、これを巡って多くの学者が実証的研究を行った。結果は違うというものであった。政府は軍資金を必要としている。少しでも高く売りたい。そこで入札、競売にかける。その時、土地のない農民が競り落とすことができるかというのである。フランス革命の第3段階でこの土地の細分競売が実施された。これでも、競争だから、貧民が入る余地はない。つぎに証券を渡してそれで最小単位の農地を手に入れることができるようにした。それでも競争には勝てない。最後に、ロベスピエール派と呼ばれる十人の議員が「まだ売れ残っている亡命貴族の土地を貧しい愛国者に無償で分け与える」という法令を提案して可決させた。これが1794年三月のことであった。しかしここまでで、その運動は止まった。実施に段階で、ひきのばしに出会った。フランス革命政府と議会の多数の反対に出会い、ロベスピエール派は粛清、殺害された。これがテルミドールの反革命と呼ばれる事件であった。だから、フランス革命では土地革命は実現されていない。なお、没収された土地については、約20年の後、「亡命貴族の10億フラン」という補償があり、時価で補償金をもらった。土地を取り上げられた大貴族は、それに見合うだけの金融資産の所有者に変わっただけのことであった。これで土地革命と言えるのかな、これが結論になる。日本の武士階級の解体のほうが、よほど徹底的であったといえる。つまり、フランス革命にはいわゆる土地革命はなかったという結論になる。

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