六 誤訳そのニ 市民革命という言葉

 この言葉は、日本で盛んに使われているが、イギリス、フランス、アメリカではつかわれていない。むりに使うと感情的にいやがられ、対話にならない。この言葉は、ドイツ語から来たものである。ビュルガリッヘ レヴォルチオン、これを日本語にしたものである。それに間違いはないが、市民の定義に問題がある。今は、皆が市民である。この感覚で考えると間違いが起きる。中世以来、城壁都市があり、それをブルグといった。実際の発音はバーグに近い発音である。つまり、ハンブルグもハンバーグも同じことであり、 実際の発音はその中間にある。
このブルグに住む人をブルガーと言い、その複数形がビュルガーとなる。フランス語ではブルジョアとなり、その一般形がブルジョアジーとなる。英語にはこの言葉がない。ブルグが無いからである。だから、アメリカ人も使わない。フランス人はブルジョア革命という言葉を嫌う。このため、この問題を彼らと話し合うことが困難なままである。
さらなる問題がある。城壁都市の住民すべてが市民かというとそうではない。ずばりいうと、金持ちだけが市民であった。後の住民は無権利状態であった。日本でも、集合住宅としての長屋の住人は町人ではなく、大家さんは町人であり、その上のほうを見ると、三井家の主人などに行き着く。そうなってくると、話が違ってくる。ドラクロワの自由の女神を思い出してほしい。女神と武装した人は別だ。現実に戦う人と、それを導いていく人は別ではないか、こうかんがえると、なにかヒントはでてきませんか。

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