誤訳、誤解続 ヴェルサイユの実態

城か宮殿か、これは重要なことである。城なら武装した戦士が集まるところ。宮殿なら国王の住所、出入りするのは使用人、日本ならば宮内庁の職員、解雇されたら、無収入になる者たちである。この意識で「フランスの宮廷貴族は領地を失って王のまわりにあつまった貴族であった」と、大学の授業で、有名教授が講義なさっていた。私も聞いて、ふむふむと思っていた。つまり、サラリーマン貴族だ。それなら、旧体制のフランスと、明治以後の日本が同列に並ぶ。あるとき、フランス文学を読んでいるときに、そうではなくて、ヴェルサイユの貴族たちは、フランスのどこかに大領地をもっているのではないかと思い出した。ある貴婦人が自分の領地に帰り、ヴェルサイユに戻ってきたとき、「あああの懐かしい臭いがする」といった。つまり、この貴婦人は、自分の領地とヴェルサイユをいったりきたりしている。それなら、日本の参勤交代と同じではないか。これは一度実証してみる価値がある。こういうところが、私の研究の原点であった。

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