ここ一番の両しのぎはだめよ

絡み攻めにあうとひどいことになる。そのためには、早いきを目指す。二つの辺で、根拠のない大石を作らない。逆に作らせたら、しめしめというものです。私は下手相手にこの形を作った瞬間、もうこの碁は頂きだなと思います。つまりは、中盤戦で勝敗が決しています。
しかし相手には、その危機感がない。これからが勝負だと思っている。初段程度の人と打っているとき、「こうならないようにしないとね。こうなってしなうともう勝負はついています」というと、「どうして、これから戦います」などどいう。9子置いてこういう口が利けるのです。やってみると、粉みじんになる。
この分かり切った問題が、プロの最高段者になっても、実践ではわからなくなる。先日のNHK杯トーナメントを見ていても、そうなっていて、先に一勝している人が、危ない石を作りました。「これこれ、まず勝っていると、つい気が緩んで、何のこれしき、両しのぎで行けると思うのだよな」、などと思いながら観戦していました。結果は投了でした。
「両しのぎの失敗は、アマのすることかと思っていたら、プロの高段者でもするではないか。これはどこまで行っても、永遠の課題ということか」と自問自答する毎日です。ではどうするか。危ない石が二つできた時、まずは一方を捨てることを考える。基準は、「捨小就大」です。もう一つは、廃物利用の見込みがどれだけあるかです。
さらに5段当時のことを思い起こすと、「俺様は両しのぎが得意なんじゃよ。いや、3,4の石をしのぎながら、事態を有利に展開するのが碁のだいご味というもの」などと考えていました。そこで、私に3子置く人たちが、「小林さんのパラパラ播き」などといっていました。似たようなことをする人がいて、それを指摘されると、「ゆすり、たかりの種をばらまいて」など言っていました。した手打ちに慣れるとこういうことになるのかもしれません。
しかし、さらに上を目指すならば、こういう心境からは、きっぱりとお別れする必要があるでしょう。すくなくとも、ここ一番というときには、両しのぎで勝つことはできないと自戒するべきでしょう。

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